・・・・・・・・・・・誘惑の試着室・・・・・・・・・・・
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巴絵は店主が差し出すティッシュとパンティを受け取って、案内された試着室に入った。
入ってみると、そこはその店の小ぢんまりした外見からは想像できないほど広く、そして清潔なものだった。 よくデパートなどで見かけるカーテンで仕切っただけの試着室とは違い(巴絵はその類しか知らなかった)木製の頑丈そうなドアがついており、鍵までかかるようになっている。 天井の噴出しグチからは温かい空気が流れ、静かな音楽もかすかに聞こえている。 入り口のドアと向かいの壁には巨大な姿見鏡、右の壁にはハンガーがかかったノブ、そして左の壁には可愛いラタンの脱衣箱と小さな椅子が用意してある。脱衣箱にはノン・アルコールタイプのウェットティッシュまである念の入れようだ。 六畳分くらいはありそうな床は半分が絨毯敷きになっていて靴を脱いで上がる作りだが、なぜかほとんど段差のない小上がりになっていた。 巴絵は小上がりに靴を脱いであがった。渡されたものを脱衣箱におき、ジャケットをハンガーにかけながら 「やっぱりこのまま直に試着するのは悪いなぁ・・・」 と、ぼんやり考えていたが、ふと脱衣箱のウェットティッシュに目が止まり、その用途に思い当たって急に赤面した。 それはあきらかに、パンティを試着するために用意されていた。 巴絵は直接の試着を店主から許されたが、そうでない人たちはこのティッシュで局部をぬぐうのに違いなかった。 冷たい、と思って取り上げたウェットティッシュは、保温性のある装置の上におかれていたため、ほんのり温かかった。 「東京のお店って、ここまでやるんだ!」 巴絵は的はずれな感激を覚えながら、ゆっくりスカートを落とし、パンティストッキングをスルスルと丸めて脱いだ。 パンティを脱ごうとして巴絵は違和感を感じた。それは巴絵の股間に由来するものだった。 さきほどからの店主との会話でもたらされたものか、巴絵の場なれない緊張がもたらしたものか、それは巴絵が今日出かけるときに着けてきた、持っている中でいちばん大人っぽい(と巴絵は思いこんでいた)パンティのクロッチ部の外まで現れた湿り気だった。 卒業旅行以来、喜びを知った体は愛撫を待ちうけてうずく事もしばしばあった。 そういうとき巴絵は、独り暮しのバスタブで股間や乳房を孤独に慰めていた。 せいぜいボディーソープの柔らかい刺激を求めるような幼いオナニーだった。 そういう巴絵が、こともあろうに外出先で、それと気づかず濡らしていたのだ。 「いやだぁ・・・あたし・・・濡れてる?」 ふき取ろうとして使ったウェットティッシュが、なお悪い結果をもたらした。 温められたウェットティッシュは巴絵の股間に心地よい刺激を与え、さらに巴絵は快美感を実感することになる。 「あは・・・・・」 巴絵は膝が崩れそうになるのを感じ、あわてて椅子に腰掛けた。 「これじゃあとても直接は試着できない・・・」 巴絵はしかたなく店主に渡されたポケットティッシュの包みから1枚ひきだし股間にあてた。 そうしてラタンの脱衣箱に入れておいた薄い素材のパンティを、そっと摘み上げた。 まじまじ眺めてみると、それはかなり細い糸で織られた素材のようで、クロッチ部分もほとんど一重のような薄さに思えた。 局部に充てたティッシュの上から薄いパンティを穿いて、巨大な姿見に自分のヒップラインを映してみた。 姿見は純白の薄い生地に包まれた巴絵のヒップと、大人っぽい下着に陶然とする巴絵の姿を映し出していた。 もともと姿は良いほうである。158センチの身長に、やや小ぶりの乳房、アバラが浮いて出そうな胸の下には細すぎる感もあるウエストライン、ゼイ肉の付いていないまっ平らな下腹そして女性としては、ものたりないくらいの小さめなヒップ。 脚は身長158センチと思えないほど長く、太股の間にスキマはできない。 ふくらはぎは決して筋肉質でなく、見事な形で締まった足首に続いている。 そして今、巴絵がパンティを試着するために充てているティッシュのあたりは、巴絵の家系の特徴である遠慮がちな飾り毛が、理由なく巴絵を襲った快美感のためにシタタリを見せているクレヴァスの上に、わずかにはりついている。 姿見に見入っていた巴絵の耳に、突然ノックの音が聞こえた。 「サイズいかが?お気に召して?」 店主のこう呼びかける声に我に返った巴絵は、股間にはりつけたティッシュの違和感を急に覚えた。 思わずパンティの上から股間をおさえたまま巴絵は答えた。 「はい、とってもステキです・・・」 「ちょっと私に見せてくださる?ピッタリじゃないとアウターに響くでしょ」 こう言われても巴絵は返事ができなかった。 パンティの下に充てたティッシュが、巴絵の着けたパンティの股間をモッコリさせている。 こんなコッケイともいえる姿を、あの店主に見せたくない。 「あの・・・・困ります・・・あの・・・」 「あら、恥ずかしい?それとも遠慮?ほほほ、どちらも必要ないわよ、開けるわね」 言葉とともにドアが開けられ、店主の妖艶な姿が試着室に入ってきた。 巴絵は思わず両腕で体を抱くようにした。 一瞬、店主の瞳がさきほど見せたと同じ怪しい光を宿したが、すぐにそれと気づかれないうちに、その光を微笑みで消した。 「あらあら、ティッシュ使ってらっしゃるのね、遠慮いらなかったのに」 言いながら店主は巴絵に歩み寄った。 |